繁昌 知洋/繁昌農園Tokyo
江戸東京野菜の復活を!東京の温泉地活性化に農業で挑戦
■プロフィール
2012年、北里大学海洋生命科学部で河川や生態系の研究を学んでいた頃から農業へ挑戦したいと考えていたが、社会経験や資金準備の必要性を感じて、日本橋髙島屋の青果店に勤務。
2013年にアグリイノベーション大学校に入学し、農業技術や経営知識を勉強しながら、体験農園で土に触れる。
2014〜2016年には「農の雇用事業制度」を利用して、立川市なかざと農園で研修。同時に日本野菜ソムリエ協会の野菜ソムリエ資格を取得。
2016年、青梅市で3反(約3,000平米)の畑を借りて新規就農。2018年、東京都エコ農産物認証取得、2021年、東京GAP取得。
■農業を職業にした理由
自然や環境生態学を学んでいた学生時代から農業に挑戦する意欲があったが、どうやって始めたらいいのかわからず、まずは青果店で働きながら、野菜の知識を学んだ。
農業の専門学校で知識を習得して、農場研修を続けるなかで、千葉や長野に農地を探していたものの、立川でなかざと農園を営む中里邦彦さんに出会ったことで、東京でも農業できることに驚き、可能性を感じた。
都会と田舎の両方の性格をあわせ持つ青梅市から農地斡旋を受けて開業した初年度は販路も定まらず、売上も140万円程度だった。
現在は消費者の需要に合わせた受注生産を中心に、野菜の個人宅配やCSAと呼ばれる野菜セットのサブスクリプションサービスなどに販路を広げ、6年間で売上が5倍に成長した。
東京で農業をさせてもらっている恩返しとして、絶滅が危ぶまれる「江戸東京野菜」の生産にも力を入れている。
■農業の魅力とは
ゼロから農業を始めた僕は、人間像を知ってもらうためにFacebookなどのSNSを通じて、積極的に情報発信して農園のファンを増やしてきました。
人と話すことも好きだし、アグリイノベーション大学校で学んだことを独占するのはもったいないので、栽培を続けながら、子供向けのサイエンスカフェや、オーガニック野菜のスクールの講師を引き受けることで、農業や野菜に関心を持ってもらうための活動に力を入れています。
コロナの感染拡大による影響で「農業をやってみたい」と思う人が増えました。僕らはそういう人たちにCSA会員になってもらうことで、農業体験会を開いたり、野菜のサブスクを進めています。
都市型農業は、生産者と消費者の距離が近い分、人と農業をつなげることで、クリエイティブなことができるのが魅力だと思っています。
■今後の展望
東京は過疎とは無縁に思えますが、青梅市には都内唯一の温泉地・岩倉温泉があって、かつて6軒あった旅館も相次いで廃業しています。
都内からハイエンドユーザーに足を運んでもらいたいと、金融機関やデザイナーなどと連携して、岩倉野菜のブランディングも始めています。
2022年6月には旅館中庭にビニールハウスを建てて、水耕栽培と魚の養殖を組み合わせたアクアポニックスを作り、環境学習の場にする計画です。大学で学んだ生態系の知識が役立ちますし、水族館とのコラボレーションも考えています。
農業をキーワードに地域づくりを進めるためにも、土に触れたことがない多くの人々を畑に呼び込みたいと構想を練っています。
また、2020年はコロナ禍で個人宅配や直販がそれまでの30倍に増えたことで、スーパーに卸す必要がなくなりました。見込み生産をやめて受注生産が可能になりましたが1人でやる限界も感じておりますので、スタッフを雇用して法人化も視野に入れています。
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