【三国志の話】三国志検定とは何だったのか
はじめに
読者の皆さんは、かつて「三国志検定」というものがあったことをご存じでしょうか?
三国志検定運営委員会が主催して、川本喜八郎人形美術館やコーエーなどが後援。当時は大東文化大学の教授だった渡邉義浩先生が問題を監修されていました。
2008年12月の第一回および2009年7月の第二回は、映画「レッドクリフ」の公開に便乗とタイアップしていたようです。
残念ながら、レッドクリフ特需が去ったあとのスポンサー探しが難しかったらしく、第三回はそれから間があいた2012年3月で、それを最後に打ち切られてしまいました。(筆者は第三回で3級に合格。)
開催要項
最もクラスが多かった第2回を例にすると、以下のクラスがありました。
赤壁:三国志の世界に興味を持ち始めた”三国初心者“レベル。映画レッドクリフを見ていれば解ける。
3級:三国志の新しい知識を探求する“三国志好き”レベル。三国志演義より出題。小説、漫画、ドラマ、映画などの三国志作品を鑑賞した経験があれば解ける。
2級:三国志全般・学術面で一定の知識を有する“三国志知識人”レベル。正史(三国志・後漢書・晋書)、三国志演義、民間伝説より出題される。
1級:三国志について学術的知識を有する“三国志研究者"レベル。『三国志』『三国志演義』を問わず、「三国志」に関わるすべての範疇より出題される。
合格基準
合格者は全体の何%ということではなく、どのクラスも100点満点中70点で合格と決まっていました。問題監修の渡邉先生はこれで一定のレベルを保ちたかったのだと思われます。
合格率
第一回と第二回については、合格率が公表されています。
第一回
3級:84.1%
2級:29.8%
第二回
赤壁:88.0%
3級:59.2%
2級:22.5%
1級:41.6%
これを見ると、第一回では「3級」は易しすぎ、「2級」は難しすぎる。
そのため、第二回では、第1回の3級に該当する初心者を「赤壁(レッドクリフ級と言う人もいる)」に誘導して、3級をやや難しくした。
そして、第一回で3級に受かった人の多くが第二回で2級を受けて軒並み玉砕した、というところでしょう。
1級の合格率が2級を上回ったのは、記述問題があるということで、そもそも自信がある人しか受けなかったのだと思われます。
第三回の合格率は公表されていないようなのですが、見てみたいですね。
(追記)過去の試験問題へのリンクを書いていましたが、ページが削除されたようですので、リンクは削除しました。
心の声
筆者は今なら2級も受かるのではないかと思い、試しに過去の2級問題を解いてみたところ・・・72点。ぎりぎり受かるが、調子次第では落ちますね。
華々しい活躍のない学者が、儒教の経典の中の何を専門にしたとか、何という解説書を書いたか、とかいう問題は本当に難しい。
とはいえ、『正史』に名が残るような偉い学者たちは、当時の政権運営を安定させる要であり、中国史にとっても重要人物ということになるので、言い訳はできません。
それにしても本当に、今2級を受けられればなあ・・・(苦笑)
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