【新曲発表】 心象風景シリーズ - Ag47 -
山梨県の河口湖に行った時のことだ。
秋晴れに湖の水面はキラキラと銀色に光り、風が柔らかく木々の葉を揺らす。 目の前には富士山を主体とした大自然の作り出した芸術的な風景が広がり、立っていることを忘れてしまいそうで吸い込まれてしまいそうな不思議な浮遊感。(めまいではありません)
私はこの幻想的な日本の原風景に流れる柔らかい風に身を委ねて、無音という名の音を聴いて過ごした。
というのは、一部本当で一部は妄想で補っている。
何せ「ここは日本か?」と思うほどのインバウンド、外国人観光客の大群がそこにはあった。 外国人観光客の纏っている異国的な雰囲気によって、日本人がいながらにして感じる「和」とは違う、外国人から見た「和」の雰囲気を日本人である私が感じてしまうという不思議な状態。
時間は流れて夜になり、人の存在はなくなり周囲は闇に包まれている。 夜空には丸々としたお月様が少し靄にかかりながら銀色の光りを放って、遠慮がちに闇を照らしている。
目の前には当然巨大な富士山があるはずであるが、暗闇にはっきりと見ることはできない。 目には見えないが確かに目の前に巨大な自然が存在しているのとは反してお月様の直接的な光源、主張。
秋の夜空に光る銀色の光りにあてられて、目の前の闇の中に佇むあまりにも大きすぎる存在に畏怖の念を抱いた。
楽曲解説 Ag47
日本の原風景を前にして銀色の月にあてられた体験からインスピレーションを受けて書いた曲です。
ヨナ抜き又はペンタトニック(音階の4音目と7音目を抜いたもの)と呼ばれる音階を用いつつ、 銀色の光りと、暗闇の先にある霊山を前に心の奥底にある思念の塊が呼吸と一緒に溢れ出ていくような4分47秒間の響きを味わっていただけたら嬉しく思います。