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スタートアップの10歳

その瞬間に立ち会えて

先週、勤め先のVALT JAPANが10周年を迎え、11期の始まりとなる全社総会があった。

10年間で潮目は変わった

経済産業省が2024年7月に出した資料「スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する」によれば、

  1. 日本国内のスタートアップの資金調達額は、2013年から2023年の間に約10倍に成長した

    • 2022年に岸田総理がスタートアップ創出元年を宣言。

    • FUNDINNOみたいに個人の投資先としてベンチャーが気軽に選べる仕組みが出て来たのもあるだろう。

  2. 大学生の約半数がスタートアップに就職希望

    • 就職ということは、経営者としてでなく、雇用されたいということだ。入れば面白い仕事ができそうだという意識が着実に醸成されている。ないものは作ればよいのだから、腕に覚えがあって自由に動き回りたい人にはとりわけ魅力的だろう。

  3. 雇用の流動性が高まり、1社にずっと留まろうという考えも変わってきている

    • ずっと会社に留まって育ててもらおうというより、自分に必要な経験を得て次に進む能動性が見える。その姿勢がある人であれば、新卒からスタートアップで働くことはむしろプラスだ。これは私が長らく会社の命を受けて人材開発する身だったから余計に思う。Off-JTよりOJT、いやもう単にJよ。できる人が欲しているのは。

現職への道のり

私が正社員として勤めるのは3社目。
1社目が1977年創業(親会社は1935年創業)、2社目が2012年、そして今のVALT JAPANが2014年だから、会社がだんだん若返っている。新卒のとき存在しなかった会社にいるんだもの。

コロナ禍が私の転機となった。老舗でも倒産する、いや新興企業こそ満足に活動できず大変だとか、企業に正社員として勤めていた自分だって先々どうなるやら。そう考えた人が世界的にもたくさんいたようで、社会的な動きを生み出した。普段、流行にはすぐ乗らず様子を見る慎重派なのに、このときばかりは波に乗って、2021年7月に何と外資系スタートアップのフルリモートポジションに就いた。一時的な気分の高揚とか逃避でなく、時は来た、それだけだ。迷わず行けよ、行けばわかるさ。

転職を機に、面白そうだと思って経営学を修めたが、自分で事業を創発して回したるでという天啓はまだ降りてきていない。ビジネススクールの最終課題だって、まだ見ぬ新規事業でなく既存事業の黒字化をお題にして何とかクリアしたほどだった。ゼロから起業する人はすごいな、何とかお役に立ちたいなという思いがより一層強まり、小野さん率いるVALT JAPANでの日々につながった。

影響力のある人

小野さんは製薬会社で働いていたときに障がいや難病など就労の課題を知り、一念発起して20代半ばで起業した。この辺りは著書に詳しい。

展示会などのイベントで見える姿は雄弁で情熱的である。社内ではさらに感情豊かで人間味に溢れている。立ち向かう課題は巨大だが、彼となら一緒に挑戦してみたいなってついて来た人だらけなのではなかろうか。働き方は多様で、フルタイム、短時間勤務、アルバイト、さらに業務委託のメンバーもいる。

私は本社になかなか行くことのない鎌倉の守り人で、小野さんとの接点もオンラインが多い。冒頭の総会もそうだった。前職だってフルリモートだったんだし、現地で参加できないくらい何さ!と強がりつつ、北は宮城から南は福岡の従業員が一堂に会するのを遠くから見る一抹の寂しさは正直ある。しかし、小野さん自らがオンライン参加のメンバーに終始配慮しているのが印象的だった。最後の集合写真は、ノートPCを抱えてGoogle Meet越しのメンバーと写っている。遠くても、近い。

私は入社してから鎌倉市の委託事業に従事してきた。自分の家から働く人と、小町通りの事業所に通所して働く人とで差がつかないようにしてきた。物理的な距離をそのまま親密性に結びつけず、その人が仕事に使ってくれる時間と労力を意味のあるものにすることに注力してきた。また、人によって得意なこと苦手なこと、好きなこと嫌いなことがあるのも、違いって面白いなーと思って業務の割り当てを検討してきた。これらは小野さんの信念を私なりに解釈して実装したもので、結果として0名から開所1年半で定員50名に達する成功を収めた。

この環境に居続けて実践してきたからこそnoteで発信することもできているので、小野さんの創業第1章の最後辺りに入れてもらえてありがたいし、これからの第2章も楽しみだ。


別事業だけれど、鎌倉の求人もあるのでよろしければ。


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