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僕の感情は海にある
海が、僕の感情を飲み込んでくれる。
僕が通っていた高校は、海まで徒歩10秒の場所にある。校舎は新校舎と旧校舎に分かれ、旧校舎は高校2年生が使うという決まりがあった。先生たちが17歳の多感な心は、新校舎に悪影響と判断したのだろうか。旧校舎は木造で古くてボロかった。そして夏はただ暑く、冬はただ寒かった。
でも、そんな環境がどうでもよくなるくらい教室と廊下掃除が面倒だった。窓は浜風でいつもベタベタで、木の廊下の板の隙間には風に乗って海の砂が大量に挟まっていた。僕たちが使う脆弱な掃除用具では、手の施しようがない。この状況に根気の鍛錬をする人と諦めを学ぶ人がいた。僕は後者だった。
そのため、掃除の時間は友人3人とよく海に行った。サボりではない。諦めの気持ちを癒しに。僕たちは水平線のかなたをただ無言で眺め、海が静かに諦めを飲み込んでくれるのを待った。海はあらゆる感情を受け入れてくれる。