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言葉を、大切にしたい。自由に使えるからこそ、丁寧に扱っていきたい。最近よく思います。

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マガジン

  • 【繋がろう】シロクロの共同運営マガジン

    • 20,099本

    【コンセプト】新しい出会い・繋がりのきっかけになったら嬉しいです︎︎👍 記事を見て貰えたら嬉しいし、スキも増えたら嬉しいそんな暖かいマガジンにしていきたいと思ってます😊 私自身もnote初心者なので一緒しnoteを楽しんでいきませんか(*・∀・)/💖\(・∀・*)

  • とらねこ村<トランスミッション>

    • 139,183本

    とらねこが運営する共同マガジン。グループ合計で参加者1,200名を超えました。フォロワ数2000名以上、130,000記事以上が収録されています。🌱コンテンツを広めたい方の参加をお待ちしています。🌱マナー:①連続投稿はしない②社会一般的に不適切な記事は投稿しない③トップ画面は変えない。参加希望の方は,マガジンの固定記事からコメントしてね(ง •̀ω•́)ง

  • 【短編小説】仮初の安全と声色の呪縛

    今までnoteに書きためてきたネタを使って1つの小説を作るためのマガジンとなります。

最近の記事

仮初の安全と声色の呪縛_7

(前話はこちらから) ↓  久しぶりに隆太と淳に会った。夏休みに入ってから、それぞれが家と予備校の往復をするだけで一日が終わっていた。学校だとサボれる授業もあるが、予備校ではそうもいかない。真面目に授業を受ける感覚を忘れてしまった僕らなので、授業を受けるだけでクタクタになってしまっているのだ。自分たちの意思で決めた予備校ではないため3人とも違う予備校に通っていたのも集合できなかった原因の一つだ。全員、横浜駅周辺にはいたはずなのだが、会おうと声をかける元気を持っている人はい

    • 仮初の安全と声色の呪縛_6

      (前話はこちらから) ↓  夏休み。夏期講習。 「まだ高2なので塾には行きたくない」  駄々をこねてみたものの、三者面談のこともあり僕の意見は聞いてもらえなかった。母との交渉の結果、通うのではなく期間限定の夏期講習が妥協点となった。隆太と淳にこの話をすると、二人も夏期講習に行かされることになったらしい。どこの親も考えることは同じみたいだなという話で盛り上がった。  昨年の夏休みは最高だった。受験について何も考えなくて良くて、ただ中学生の時に妄想していたことを実現していく

      • 仮初の安全と声色の呪縛_5

        (前話はこちらから) ↓  高校2年生、祖母の家にて。  祖母の家には昔ながらの縁側がある。僕はそこに座って麦茶を飲みながらゆっくりと話をする時間が好きだ。足をぶらぶらとさせながら、おばあちゃんの知恵袋的な話を聞く。『荒波のように一気にいくつかの現実が僕に打ち寄せていること』『隆太に気を使いすぎていると言われたこと』。たった2つの事だが、僕の小さなキャパでは抱えきれない問題が、頭にずっとあることが辛かった。こんな時には祖母に会うに限る。海は話を聞いてくれるが、アドバイスは

        • 仮初の安全と声色の呪縛_4

          (前話はこちらから) ↓  中学2年生、隆太と僕の某日。 「これが、レッチリだよ。かっこいいだろ」  隆太は自分が演奏しているかのように誇らしげな表情をしている。僕が初めて『Red Hot Chili Peppers』を聴いたは、14歳。隆太の部屋にあったライブビデオだ。上半身は裸で全身タトゥーだらけ。ステージで飛び跳ね観客を煽り続ける。その姿に観客は発狂し、我を忘れる。この異様な光景とパワフルなライブパフォマーンスは、隆太の部屋にある音響が微妙で画面も小さなテレビでも、

        仮初の安全と声色の呪縛_7

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        • 【短編小説】仮初の安全と声色の呪縛
          7本

        記事

          仮初の安全と声色の呪縛_3

          (前話はこちらから) ↓  三者面談翌日。  分厚い黒い雲に覆われた空からは大粒の雨が降っていた。どうやら隆太も昨日は何かあったようで口数が少ない。たまに発言をしても、いつもより低い声で心ここにあらずのようだ。無言の電車を眺めると、誰もが憂鬱そうな顔をしている。通勤や通学。楽しいことだけが待っている場所に行くわけではない。誰しもが大小何かしらの悩みを抱えている。他人は自分の鏡と言われるが、今の僕も同じような表情をしているのだろう。  電車を降りて駅の改札を出ると淳が僕らを

          仮初の安全と声色の呪縛_3

          仮初の安全と声色の呪縛_2

          (前話はこちら) ↓  高校2年生の三者面談。  白紙の志望大学届を見た吉岡先生はあきれた顔で僕を眺め、隣にいる母も困った表情を向けてくる。おそらく僕が話の口火を切るべきなのだろうが、僕自身の意見は紙で示しているので、他に何を言ったら良いか分からなかった。時計の針の音がはっきりと聞こえる無言の時間。この音が聞こえていなければ、時間が止まってしまったと勘違いするくらいの静寂に教室は包まれている。このままが沈黙が続けば、そのうち波の音まで聞こえてきそうだ。 「早坂、これ期日伝

          仮初の安全と声色の呪縛_2

          仮初の安全と声色の呪縛_1

           僕の高校時代の思い出は、この海が全部知っている。友人との進学についての会話だったり、苦手な女性の対応の悩みだったり、家族との意見の食い違いについての愚痴だったり。もちろん嬉しかったことだったりもだ。僕はあらゆる感情を海に話してきた。  鮮やかなオレンジに染まった空に彩られ、どこまでも広がる夕方の海が僕の大切な記憶を呼び覚ましてくれたのだろうか。それともただ考える時間があったからだろうか。僕は親友を待っている。退屈さを凌ぐために缶ビールを飲みながら。 「慶太、もう飲んでるじゃ

          仮初の安全と声色の呪縛_1

          何かを始めるという事を話す勇気

           何かを始める人の話を聞く事が好きだ。何かを成し得た人の話は、伝記など何かしらの情報としてまとまっていることが多いが、何かを始めただけの場合、その本人が発信を行わない限り知ることが難しいので、僕はその時間を大切にしている。  何かを始めるという事は、それについての具体的な知識をほぼ持っていない状態の可能性が高い。つまり、発言するには勇気が必要だ。間違っているかもしれない。否定されるかもしれない。そんな言葉が脳裏に浮かぶと思う。  しかし、そんな不安があっても、始める状態の人は

          何かを始めるという事を話す勇気

          おにぎりの具材の理想的な選択数は?

           好きなおにぎりの具材が分からなくなった。始まりは同僚の一言。「おにぎりの専門店を知っているか?」僕は首を横に振る。家庭の独自性が優先されると思っていたおにぎりに、専門性を追求しているお店があることに衝撃を受けた。  「何を隠そう、僕はおにぎりが好物だ。普段はお茶碗1杯分しかお米は食べないけど、おにぎりならお茶碗3杯分はいける」。専門店の存在に興奮した僕は、何の自慢にもならない事をお店に行く道中で誇らしく同僚に語った。  さすが専門店。多くのおにぎりが高級ジュエリーのように陳

          おにぎりの具材の理想的な選択数は?

          海の未来のためにできること

           この景色が、いつまでも続きますように。海を眺めながらそんなことを願った。高校生の時から何かに悩んだり、落ち込むことがあると、僕はこの場所に来る。友人と喧嘩をしたとか、仕事がうまくいかないとか、話の内容は様々だが、海は静かに僕の言葉を聞いてくれる。別にアドバイスはいらない。今、思っていることをボソボソと口に出したいだけなのだ。家でもできそうなものだが、海を前にして、小さな声で弱音を吐くことができるのは何にも変え難い。  海は、いつも変わらずそこにいてくれる。ずっとそう思ってい

          海の未来のためにできること

          偶然の散歩

           目が覚めると最寄駅だった。眠たい目をこすりながらホームに降りて駅を眺めると、左手には階段と目印のポスターが貼られている。地下鉄のいつもの景色だ。改札を右に出て階段を登り地上に出ると、そこは最寄駅ではなく1つ前の駅だった。駅の形が似ていると噂には聞いていたが、違和感なく地上に出られたことに驚いてしまった。思わず自分に「いくら寝ぼけていてもこれはない」とツッコミを入れてしまう。  心を落ち着かせるために深呼吸をする。ちょうど良い気温とほのかに秋の気配を感じさせる心地よい風が、気

          偶然の散歩

          すぐそこの角を曲がれば…

           9月。秋の気配を未だにあまり感じることはない。青空はどこまでも広がり、燦々と陽光は降り注ぎ、緑は生命力に溢れている。  天気予報を見る限り、平均気温は上昇傾向にあり、10年以上前、関東では35°を超える日は稀だったのだが、今は普通になってしまっているそうだ。確かに33°と見ると、今日はちょっと涼しいなと思ってしまう僕がいる。  英語は得意ではないのだが、季節の変わり目に思い出すのが『just around the corner』という表現だ。『もうすぐ』とか『もう間もなく』

          すぐそこの角を曲がれば…

          8月の振り返りと9月にやりたいこと

          気がつけば、noteを始めて3ヵ月が経ちました。 「普通のことを普通に400文字で書く」を マイペースに続けることができています。 今日は猫と一緒に外を眺めながら 8月のnote活動を振り返り、 9月のnoteでやりたいことを考えてみました。 ◼︎8月の振り返り 8月にやりたいことは「フォローさせていただいているクリエイターさんの記事にコメントをさせていただく」でした。特にカウントはしていないのですが、おそらく1日2回はコメントを残せたと思います。コメントを残すことでクリ

          8月の振り返りと9月にやりたいこと

          言い換える力は大事

           「修正ではない、ブラッシュアップだ」酔っ払った先輩が荒れ気味に言った。僕は知っている。そんな事を言っている先輩が人一倍、修正に敏感な事を。  ホームページやダッシュボードなど何かを制作するプロジェクトでは、たまに大きな修正が発生する。スゴロクで言うと、3マス戻るとかではなく、ほぼ振り出しに戻るみたいなものだ。それは、クライアントの内部組織コミュニケーションのかけ違いや鶴の一声みたいなもので発生する。早めに発見できれば良いのだが、深い内部事情を知ることは、お城で猫とかくれんぼ

          言い換える力は大事

          はじめて切なさを覚えた日

          (以下から本文)  幼い頃と比べると心が動かなくなった。だけど切なさは唯一、大人になってからしっかりと認識した感覚なので、いまだに僕の心を動かす。切なさは、自分でコントロールできない悲しさや寂しさによって心が苦しくなることだと思っている。そのため、大人になって自分の人生のコントロール範囲が広がっているから、相対的に幼い頃よりも切なさを感じる機会が多くなっているのかもしれない。  僕が切なさをはっきりと認識したのはいつの頃だろう。今思い出せる範囲でこれは切ない気持ちになってい

          はじめて切なさを覚えた日

          猫じゃらし

           高額なプレゼントとそうでないプレゼントどちらを選びますか?『したきりすずめ』の大きなつづらと小さなつづらのような話だが、現代社会では大きなつづらを選んだとしても妖怪に出くわすことはほぼないし、単純な選択として考えれば、高額な方を選ぶ人が多いと想像する。  その考えのもと、僕は猫のプレゼントに1ヵ月の餌代と同額のオモチャを購入した。毛がもふもふでしなやかに美しく揺れる超弾性ワイヤーの猫じゃらしだ。しかも、またたびの匂い付き。  その高級プレゼントを猫に見せると、一瞬鼻をちょこ

          猫じゃらし