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人はなぜゲームにハマるのかを心理学と考える。


はじめに


現代社会において、ゲームはエンターテインメントの一部として重要な役割を果たしています。子供から大人まで、幅広い年齢層がゲームに夢中になり、その魅力に取り憑かれています。なぜ人々はこれほどまでにゲームにハマるのでしょうか?その背後には、心理学的な要因が大きく影響しています。本記事では、ザイアンス効果、サンクコスト効果、現状維持バイアスといった心理学の概念を通じて、その理由を探ります。

ザイアンス効果

ザイアンス効果とは、特定の対象に繰り返し接触することで、その対象に対する好意度が増す現象です。ゲームにおいても、この効果が強く働いています。たとえば、あるゲームを何度もプレイするうちに、そのゲームに対する愛着が深まり、ますますゲームに引き込まれていきます。

この効果は、特にオンラインゲームやソーシャルゲームで顕著です。プレイヤーは毎日ログインしてクエストをこなしたり、他のプレイヤーと交流したりすることで、ゲームに対する愛着が自然と形成されます。ゲーム内のキャラクターやアイテム、ストーリーに親しみを感じるようになり、それがプレイを続ける動機となります。

サンクコスト効果

サンクコスト効果とは、既に投入したリソース(時間、金銭、労力)を惜しむあまり、それ以上の損失を避けるために、さらにリソースを投入し続ける心理現象です。ゲームにおいては、この効果が特に強力に働きます。

例えば、プレイヤーがあるゲームに多くの時間とお金を費やしてキャラクターを育成した場合、途中でそのゲームをやめるのは非常に難しくなります。これまでの努力が無駄になると感じ、さらにゲームを続けることでその損失を埋め合わせようとするのです。この心理効果が、ゲームへの執着を一層強めます。

現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、人間が現在の状態を維持しようとする心理的傾向のことです。変化を避け、現状を続けることに安心感を覚えるため、新しい選択肢や行動に対して消極的になります。ゲームにおいても、プレイヤーは現状維持バイアスによってゲームを続ける傾向があります。

特にオンラインゲームでは、日常的にログインしてクエストをこなすことがルーチン化し、それが生活の一部となります。新しいゲームを始めるのは手間がかかり、リスクも伴うため、慣れ親しんだゲームを続ける方が心理的に楽なのです。こうして、現状を維持し続けることが、ゲームへの依存を強める一因となります。

ゲームデザインと心理学

これらの心理効果を理解することで、ゲームデザインの重要性が浮き彫りになります。ゲーム開発者は、ザイアンス効果を利用してプレイヤーに繰り返しプレイさせる仕組みを作り、サンクコスト効果を刺激することでプレイヤーの継続的なプレイを促します。また、現状維持バイアスを利用して、プレイヤーがゲームを続けやすい環境を整えます。

例えば、デイリーログインボーナスや期間限定イベントは、プレイヤーに日常的な接触を促し、ザイアンス効果を高めます。さらに、キャラクターの育成やレベルアップには時間と労力を要するため、プレイヤーはサンクコスト効果によってゲームを続けやすくなります。そして、定期的なアップデートや新コンテンツの追加により、プレイヤーが飽きずに現状を維持し続ける動機を提供します。

まとめ

ゲームにハマる理由は、単なる娯楽以上のものであり、心理学的な要因が深く関わっています。ザイアンス効果、サンクコスト効果、現状維持バイアスといった心理現象が、プレイヤーをゲームに引き込み、継続的にプレイさせる要因となっています。これらの効果を理解することで、ゲームデザインの巧妙さや、人間の心理の奥深さに気づくことができます。そして、これらの知識を活用することで、自身のゲームとの付き合い方をより健全なものにする手助けになるでしょう。


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