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サルカニ合戦、サルが勝ったら【400字小説】

屋根から落ちて、泥濘んだ泥土から抜け出せなかった。サルがまんまと我々を出し抜いたから、奴は有頂天でごきげんに。我々は各々傷を負って、しばらくは大人しくしているしかなかった。その間にサルは仲間たちを集めて、この村から我々を追い出そうとした、凶暴化。おいらは落ちた勢いで胴体にヒビが入ったから、餅をつくには危険だ。サルは偉くなったつもりか、堂々と村人を襲うようになった。最早、怖いものなしだ。天罰が下ることを願っている。でも神様なんていないみたいで、災いに襲われたのは、おいらだった。もう廃棄処分されるだけになり、それでも村人はおいらを惜しんでくれて、薪にしてくれることになった。焚き火しながら村人たちはおいらの思い出を共有、うるうる。そこまでは良かった。火と化したおいらは強風で山の林に飛び込んでしまったのだ。カラカラに林は乾いていたから、あっという間に火の海に。幸いなのか、サルの住処を巻き込んで、全焼。

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