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【血の粥】自暴自棄に青い実を食べた(21)

呪われた樹の実を食べることもやめられなかった。気持ち良い青い空だったので皮肉。雲が扇状に迫ってきて生きているようだった。ジャを飲み込もうとするかのようだった。「どうにでもなってしまっていいの!」と自暴自棄になって、青い実を食べた。呪われた樹の実だからと勝手に堅いものだと思い込んでいたが、そうではなかった。むしろその歯ごたえは癖になる魅力があった。小指の爪ほどの実が口の中で酸っぱく弾ける。「酸っぱい」と思わず口にしたほど。舌の上で踊る酸っぱさ。数秒、その酸味が心地よく感じられた。だが、しばらくすると沈み込むような苦みが襲ってくる。顔を歪めずにはいられない。同時に急に舌の根が渋く痺れた。思わず嘔吐いてしまう。さらには噛み砕いたはずの青い実が喉管に止まって、ジャを息が出来ないほど、咳き込ませる。荒野ではその咳はあまりに弱々しかったが、ジャにとっては象に踏み潰されそうになる蟻のような大騒動で大事。

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