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あかずきん、大人になったら【400字小説】
猟銃をBANGBANG! 狼なんてもう怖くない。度重なる復讐にも勝ちに勝ちまくっていた。いよいよ痛い目に遭わせてやろうという狼もいなくなったみたい。完全勝利を祝福したい。お酒が大好き。酔っ払ってキス魔になったり、暴力を振るったり。わたしとは真逆にやさしかったおばあちゃんはとっくの昔にいなくなっちゃった。赤いずきんは箪笥の奥にしまってある。あの日の出来事はきっと忘れない。猟銃を磨いている。やかんでアツアツのお湯を沸かしている。ドアーをノックする狼は来ない。もしも性懲りもなくやって来たってBANGBANG! するだけ。そもそもアップルパイを焼いているから手が離せないけどね! 夫の大好物なんだ。彼とは猟銃会で出会った。腕はピカイチ。BANGBANG! と撃ちまくる。でも少しやさしすぎる。普段は蚊も殺せない。わたしを甘やかす。友人にお金を平気で貸す。猟銃を握った時の殺気立った目は殺し屋。普段と違いすぎて萌える。撃ち殺されても構わない。
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