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ヨアソビ【400字小説】

ヒットチャートに無関心だったし、
むしろ流行に左右されるなんて、みっともないとさえ。

だから『夜に駆ける』を小学6年の娘に無理やり聴かされて
面倒くさかったのは確か。
「よくできた曲だね」と上から目線で感想を。
そしたら、娘のみならず妻にもツッコまれて。後味が良いとは言えず。

そんなことがあったのに、今現在、『夜に駆ける』に
いまさらハマって毎日ヘビロテ。サンマリーンに泳ぎに行った時に、
突然流れたのにはドキッとして、それは、昔好きだった女の子に
ばったりしたみたいな感覚で。

実際、初めて付き合った女の子の味噌汁が、
薄味だったことを思い出し。
彼女と夜遊びしたのに、口づけどころか手も握らなかったなって、
プールサイドで準備体操しながら。

『夜に駆ける』をよく聴くのは恋に似ているな。
妻とは恋をしない関係だけれど、
彼女が作る味噌汁が好きだ。
それだけで安心。
夜遊びしなくても恋以上の愛っていう関係。

むしろ娘との関係の方が恋っぽい気持ち。

❏❏❏

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