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【400字小説】鼻提灯の夏

夏風邪、夏の終わりに。蝉時雨、やさぐれてぼた餅食べすぎた。花火が湿気った。浴衣、着なかった、今年の夏も。

どんどん年を重ねていく、忘れていく、子どもの頃の記憶。最近のことも覚えていられない。だから時間が進むのが早まるのか。記憶が濃密なほど、思い出も重厚。

銃を突き付けられることはしていないし、これからもしない。普通を生きる。売れなかったあのSSWのように、それでも歌い続けていたいから、書く。あなたの書いた文章を称える。それがあなたらしさだ。自分を追求しない、それで素敵だとリスペクトしているという事実。

居酒屋で生ビールを数年飲んでいない。記憶、あれは妻たちが里帰りした、夏。猫の留守番を見守るためにわたしも自宅にて留守番……のはずだったが、近所の人妻と飲みに行った。その際、生ビールのピッチャーをふたりで飲み干した。その後はご想像の通り? 鼻提灯して眠っていた人妻に何もしなかった。夏風邪だった、あの夜。

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