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ラプンツェル、間違ったあらすじ【400字小説】

深い海の底で王女として暮らしていたあたし。海底にそびえ立つ塔に閉じ込められていた。14歳になる直前まで。運命のその日、ギャングの窃盗団が海中まで忍び込んで、塔の宝を盗みにやって来た。それで大事な金色の髪の束を盗んでいった。それは死んだお母さんの形見で、どうしても取り戻さなくてはならない。それで窃盗団が潜水艇に乗り込む、ちょうどそのタイミングで中へ潜り込んで、金の髪の束の行方を追った。でも船酔いならぬ《潜水艇酔い》したあたしは嘔吐。一味のひとりに見つけられて、すぐにギャングの団長のフリンの前に突き出された。でもあたしは気持ち的には平気だった。金の髪はあたしの命よりも大事だ。命を懸けて取り返すと言ってやった。フリンと取り巻きたちは大笑いした。そして「お前を仲間にしてやる」と言うので屈辱的で、でもそんな場面で嘔吐を堪えられなくなり、無様に。でも、これで王女の資格はなくなったって安心したのも事実だね。

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