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悪夢【400字小説】

クラブに来るのは
ホント久しぶりで。
新型コロナウイルスを、
ぶっ殺して、やって来たの。

カクテルを片手に
踊りまくってた。
もう冬に突入だってのに、
夏の曲ばかりが流れて清々しく。

成功するとか、
どうでもよくなっちゃった。
写真もバカバカしくて
撮ってらンない。

≪職業カメラマンになる!≫
という野望を持てていたのは、
何も知らなかったからで
≪才能がない≫という現実を
突きつけられた今となっては、
愚かだったと。

国民総カメラマン状態で、
誰もがインスタ映えする
被写体を探してばかり。
わたしの写真は萌えないから
没個性に生き埋め。

DJが変わった途端、
クラシックなロックがかかって、
踊れなくなった。
それでバーカウンターに
座って飲みまくる。

しばらくして
ローリング・ストーンズの
曲名も知らない歌がかかって、
英語は喋れないわたしだけれど、
詞の内容はわかったから、
忌々しい曲だなって悪態を。

何も知らない方が
夢を持てるってものだなあと痛感した。

❏❏❏

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