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スイープ【400字小説】

「アイバーソンがファイナル出たのっていつだっけ?」
「2001年だな」
コウキもリュウセイもバスケ経験はない。でもNBAを観ている年数はそれなりにある。実は20年以上。黙って聞いているカズヨシは大学までバリバリのバスケ選手だった。レモンサワー4杯目でかなり眠くなってきている。食べかけの冷や奴とかじりかけの焼き鳥が2本残っている。
「カズはなんでNBA観ないの?」
「実力が違いすぎて屈辱的だからだよ」
「じゃあ、河村と富永はNBAで活躍できるとは思わない?」
リュウセイがなんとなく焼き鳥に手を伸ばす。しばらく沈黙する。店内はざわざわ。「オレは無理だと思うわ」とコウキが発言。するとカズヨシが「可能性はなくはないよ、」と話し始める。さすがの経験者視点で語る。無口なカズヨシにしては珍しくアツい。「不可能」だと言ったコウキを一蹴。それで「さすが実力者だな」とリュウセイは感心。でも、カズヨシは睡魔に負けて眠っていた。4杯目で4敗だ。

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