【血の粥】喉が無性に渇いて(12)
遠のく意識、繰り返す気絶、近づく死。うっすらと、でも強く「もうすぐ助けがやって来るから」とコバートは言い聞かせたて、ただ堪えてひたすら待った。傷つけられた胸だけではなく、喉が無性に渇いて鋭く痛かった。雨が降ってくれば、それも解消されて楽なのにと考えたが、不思議と雨は雷雲からこぼれ落ちてこない。土器のコップの水のような表面張力が見せるような自然の驚異だった。雷は相変わず鳴り続けているとコバートの頭の片隅で認識していたが、突然、また耳をつんざく大きな音が近くでした。今度は体半分が死んだ恐竜コウモリに落雷。次の瞬間、大きく炎があがって、その恐竜コウモリは半分を生きながらにして、無惨にも焼かれた。最期のいななきは「復讐してやる!」だったが、コバートに意識があったとしても悲痛な叫びにしか聞こえなかっただろう。ふすふすと恐竜コウモリの遺体が燃えた。食したらうまいだろうと想起させる香ばしい匂いがした。
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