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aoyagi_gahaku
頂上【400字小説】
妻との会話に反応して、
「ストーンズって何?!」と
小6の娘が言ってくるので。
俺は困惑。
ローリング・ストーンズの偉大さを
一言で説明しろというのは酷。
次の瞬間に口をついて出たのは
「地球上で一番偉いロックバンド」。
我ながら、ひどい説明だと
笑っちゃって。
妻も爆笑して
「もっと違う言い方あるでしょ」って
『サティスファクション』も
知らないくせに。
娘はきょとんとして、
ノーリアクション。
しばらくして彼女が
「そんなに偉い人なら、
叶わない夢なんてないんだろうね」と
達観してひと言。
「そんなことないンじゃん」と
妻が言ったら
「なんで?」と純粋な気持ちで娘は。
「むしろ、手に入らないことの方が
多いんじゃない?!」と
妻は俺にまた無茶ぶり。
それで仕方なく俺は
そんなことを歌った
『無常の世界』について語り始める。
でも、素っ頓狂な説明しかできない。
やはり俺は話術という
才能を持ち合わせていないことを悟る。
いつか手にできるものでは
ないって諦めざるを。
❏❏❏