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tr413
トランジション【400字小説】
テレビ中継の途中に意味を聞かれて、当然のごとく「速攻のことだよ」とアキラは即答、自信満々。ところが解説者が「攻守の切り替えですね」とアナウンサーの問いに答えて、赤っ恥。それを惨めに感じたのかチバコは「大きな意味では間違ってないよ」とフォロー。初心者にそんな気を遣われて、アキラは気まずくなる。トドメはトランジションが決まった映像がリプレイされたこと。「なんかゴメン」とアキラは言って微笑んだが、顔は引きつっていた。チバコは「謝ることじゃない。嘘ついたわけじゃないんだし」とアキラを抱き寄せた。アキラは二日前に友だちと飲みに行くと言って、元カノに会っていた。後ろめたくて「チュウしてよ」とどの口が。「落ち込んだり、攻めてきたり、切り替えが早いね」と今度はチバコが笑顔に。「恋愛はトランジションが鍵です」と開き直ったアキラが解説者っぽいことを言う。それから間もなくして、笑顔を押し倒し、激しく抱き合った。
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