【血の粥】呪術師の素質を持った人(29)
コバートはエコーのことを引き摺っていた。そんな中での連続怪奇事件。ジャを気にしてもいた。ムラ長に呼ばれただけでも虚を突かれた。だが、それ以上に驚いたのは、ムラ民が集まる大屋敷前で「わたしの順番ではない」と言った後に、「コバートなら解決できる」と指を差された時だ。途端に混乱で頭が真っ白になった。相手が恐竜コウモリのようなヤツかもしれないと考えたら、太刀打ちできる気がしなかった。呪術師になれる貴重な機会だということは自覚してはいた。でも、本心では狩りをしたかった。夢中で獲物を追うことで悲しみを忘れたかったのだ。ムラ長にはどんな悪魔/人物/動物が襲ってきているのか感覚的に知っていた。だから、誰が解決するのかは、はっきり見えていた。それはコバートに間違いなかった。だが、得体も知れない怪物とどう対峙すれば良いのかなど、覚悟のないコバートにわかるはずはない。コバートはムラの群衆に囲まれて、途方に暮れた。
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