【400字小説】化け猫
死んだ家猫がフルカラーの夢で生き返ってた。昨夜見た夢と同じで、途中になる前に夢だって今夜も気づいたから泣けた。
一度も外に出たことのなかった10歳の家猫は、わたしが油断した隙に玄関から飛び出して、その直後に車に轢かれて逝った。わたしは後悔しても後悔しきれない気持ちでいる。わたしだけの家猫だったので、誰にも責められることはないが、唯一自分がわたしを叱責する。
幻聴が聞こえる。
なにやらかしたんだって。精神科へ通って薬を処方してもらってからはそんな幻聴に苦しめられることはなくなった。
とはいえ、夢で家猫が化けて出てくるから、問題は根深いんだな。眠れない夜が続いて、いよいよ仕事にも支障が。今日はとうとうギブアップの連絡を入れた。すなわち有給休暇。とにかく眠れば精神は浄化されるはずなのに、簡単には眠れないし、何より夢という強敵が厄介者。
家猫を轢き殺したドライバーを責めるのは、結局わたしをキツく罵倒すること。
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