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ドロップ【400字小説】

ヨウジにとって屈辱だった。わざと距離を置かれる守備をさせないためには、ミドルシュートを何本か決めればいいだけのこと。でもそれもできず、相手ディフェンダーから罵声を浴びせられる始末。会場の落胆のアクションが耐えられない。ヨウジはトラッシュトークされるだけで気持ちを乱して、ここぞという時に平常心でプレーできない。残り1分で3点差。「ヨウジ、どうにかしてくれ!」というファンの声が届いて、ドライブで強引に突破を試みる。でも、簡単に侵入を阻まれる。「そんなもんかよ」とマッチアップする相手が本当に残念そうに言った。
「和製ウエストブルックじゃなかったのか?もう落ち目なのか?」
確かにピークはもう過ぎて、下り坂。チームも自動降格ラインすれすれ。認めたくなかった、自分の衰えを。だからこそ、そのシュートは絶対に決めなくてはならなかった、ミドルシュート。会場がまたがっくりとため息を。残り39秒、試合はまだ終わっていない。

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