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フリースロー【400字小説】

シュリは精神障がい者だから優遇されたり気を遣ってくれると思っていた、再就職。でも働いてみたら《出来て当たり前》の世界だった。誰も励ましてくれなかったし、ましてや褒めたりしてくれなかった。いや、ただ上司や同僚たちはヘンに気をまわしたりしなかっただけ。健常者にするようにそうしただけだ。シュリは大分《使えた》。自他共に認めていた。だから、「すごいね」とか「えらいね」とかを期待していた。でも、全然……。甘かったのか、シュリは。足りなかったのか、会社が。見返りを求めてはいけなかった。給料をもらうだけの関係、それで良かった。冷めていて、それはそれで。自分を差別していたのは、シュリ自身だった。障がい者は特別扱いされて当然という差別……。職に就いてお金以外に何を求めようというのだろう。社会貢献?助け合いの気持ち?そんなことはないはずだ。障がい者は自分のことで精一杯。多くを求めてはいけない。金だけで十分。

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