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【血の粥】秘密は秘密のまま(46)

中身はドロドロした赤い液体で、無臭だった。当時のトリスヴァンスンはただのムラ民のひとりでしかなかったので、なす術がなかった。たまごを放置して、泣きながらムラへ帰った。その際、彼の才能が覚醒し、紫の雨を降らせた。帰ると恵みの雨を待ちわびていたムラ民の集団が狂喜していた。彼は本当のことは話せず、コベインは失踪したと伝えた。「二、三日すれば帰って来るよ」。それでムラ民は悲しむことはせず踊り続けた。当然、コベインは帰って来ず、ほどなくして残された若い妻に子どもができたことが判明する。それでいたたまれなくなったトリスヴァンスンは、呪術師になるための試練に挑むことを決めた。西の呪われた樹の実を獲ってくるという難関だったが、濃く強い紫の雨を降らして盗賊や恐竜動物たちを寄せ付けず、試練を成し遂げる。その後《ことほぎの儀》を受けた彼は晴れてムラ長に。彼がコバートに歪んだ愛情を持っていたのはそんな過去のせいだ。

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