トリプル・スレット【400字小説】
iPhoneにMacBook。そしてヘッドフォンがあればカズヒトは無双に。かわいいバイトがいても、それらが揃えば集中して小説を書ける。ところが今日はマクドナルドで厄介なおばさん二人組に遭遇。どうやらカーブス帰りらしく、軽装でこぎみよい悪口を。レジにはカズヒトと馴染みのSさんがいたが、意識はおばさんたちに集中。ジューダス・プリーストの名盤『ペイント・キラー』を大音量で聴いても、まるで蟻のように悪口が脳に侵入、強者。早々と降参してレジへ立とうとした瞬間、おばちゃんふたりが出刃包丁を構えて「全員、金を出せ!」と吠えた。そこにSさんが「お客様、ほかの方々の迷惑になりますので」と怯えもせずに接近。すると、おばちゃんも躊躇わずに出刃包丁を投げた。急所に刺さった様子で悶絶するSさん。それでも「ほかのお客様にご迷惑ですからおやめください」と彼女は、なおも怯まずに。カズヒトはその様子をメモする作家魂しかなかったから、弱腰。
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