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【血の粥】静寂としか言い様がない(48)

ぐずぐずしている暇はなかった。いつ何時、悪魔が介入してエコーを復活させるかわからない。しかし、コバートは傷ついた体の痛みと、腐っていく右腕の悪臭に萎えていた。そのうち限界を迎えたエコー自らが「全部ボクが悪かった」と言った口から全身すべて砕け散った。しばらく誰も身動きすら出来ず、静けさが襲った。炎が揺れている。漆黒の闇がやって来ていた、近くまで。楽器や食事の器は地面に転がっている。唯一、血の粥の器と鍋だけが礼儀正しい青年のように在った。エコーに襲われたコバートであったが、血の粥を粗末にしないことだけは守り抜いた。もし驚いて血の粥をこぼしていたら……。彼らの命はなく、悪魔よりも恐ろしい呪いに魂も犯されて永久の苦しみを味わったことだろう。コバートの額から油汗が垂れた。ムラ長の深い呼吸。ムラ民たちの真顔。雨が降るような予感はしない。それでも、紫色の雨が降るなら、もしかするとムラ長がコベインを呼ぶ合図。

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