【血の粥】襲撃は儀式の真っ只中(41)
生き霊が襲ってきたのはそんな最中だった。突然悲鳴が上がり、子どもたちが数人、血飛沫を上げて倒れた。母たちが駆け寄るが次は彼女らの順番で、鋭利な怨念が喉をパックリと裂いた。それはマチの人々を多く襲ったのに、まだまだ血の匂いを嗅ぎたいバケモノだった。ムラ長はこの時が来るのを予知していたが、思っていたタイミングではなかった。コバートはまた超*覚醒していなかったのだ。本人は血の粥を食べきって、呪術師にすでになったと考えていた。勘違いなだけの自信がコバートを後押しした。生き霊の前に立ちはだかる。そのバケモノの姿はおどろおどろしく、悪夢の沼のようにドス黒くて、人間でも動物でもない真っ黒けっけな影だった。しかも、かつての肉食恐竜くらいの巨大さ。だから、ムラ民は恐れるばかりだった。しかし、コバートは気づいた。バケモノがエコーだということを。それがわかったのは呪術師になったから? いや、まだなっていないのだ。
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