【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「The Song Of Love」谷口崇
国語の課題は「愛とは何か?」で、アヤカは照れ臭くて作文を書けなくて困った。母に聞いたら「お父さんに聞いて」。父は父で「それは生きながら学んで行くことだ」ともっともらしくはぐらかしたので大人はズルいとやはり思ってしまって。
クラスメイトたちもそれは同じで書きあぐねたらしい。ジョン・レノンの『LOVE』の歌詞をそのまんま書き写してきた男子もいて、先生に諭されていた。それで「この中で花丸をつけたのは一人だけだ」と先生は告げた。それは意外にもタナベくん。それもそのはず、付き合っている女子はおろか、好きな女子すらいなさそうな冴えない男子。彼曰く「愛とは自分を大切にすること」だそうだ。
でも、誰もピンと来なくてアヤカもその一人。その名前が発表されてからの一瞬、教室に静寂が駆け抜けた。それでたまらず教室のどこかからかパチパチと拍手が沸き起こったのでアヤカも手を叩くと、万雷の拍手へと変わって、さすがに違和感を。
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