ピック&ロール【400字小説】
「マローンとストックトンのコンビネーションはわかっていても止められなかったんだ」とハヤカより30歳も年上のヨシオカは穏やかな語り口で話す。若ければ誰でも良いのだろうかとハヤカは思う。ブスな自分に気があるのは感じている。ハヤカは早く家に帰ってリストカットしたい。血が滴り落ちるのを見ていると落ち着く。生きているんだって気になれる。でもまあ、ヨシオカは躁鬱病をハヤカが生まれる頃から抱えて生きているのだから、その点は尊敬しなきゃだなと改める。すると突然ヨシオカが「ブレイブウォリアーズの試合一緒に行ってくれませんか?」。
「なんで敬語なの?」
「そりゃまあ、告白みたいなものだからですよ」
ヨシオカが顔を赤らめたのを、初めてかわいいと思ってしまったハヤカ。ヨシオカの気持ちはわかっていたのに、いざ、あからさまにされると動揺せずにはいられなかった。心の底から死にたいほどハヤカは恥ずかしかった。顔が真っ赤かだった。
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