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【血の粥】雷鳴を呼んだのは、秘めた能力のせい(11)

意識があったのか、それともまた夢の中だったのか。それはわからないが、雷鳴を呼んだのは、自らの秘めた能力のせいと、気づいていた。血液から興奮する際は、必ず雷が鳴った。例えば初めて狩りに成功したあの日、あるいは恋する少女と踊り合ったあの時の興奮は雷とともにあった。コバートと雷は切っても切れない間柄。認めたくなかったのは、呪術師になりたくなかったからだ。ただ平凡に暮らすことを望んだ。それが仇となって親友を失った。だから、誰かを救うために呪術師になるんだと誓った。その時、意識はあったのか。雨はまだ降ってこない。雷鳴は轟いている。ムラの仲間たちは雷を恐れているだろうか。少なくとも神がお怒りだと騒いでいることは確か。コバートの体は草原に埋もれているから、できれば上体だけでも起こしておいた方が良いが、そんなことにも気づけないほど傷ついている。次々と雷鳴がして「コバートはここ」と教えてくれていた。

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