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金の斧と銀の斧、みずうみに身を投げたら【400字小説】
どちらの斧ももらえなかったうえに、使っていた斧もみずうみに投げ入れてしまって、明日の仕事すらままならなくなった。生活をどうすればいいのだろうと項垂れていた。気分転換にパブへ行き、大酒を飲んだ。酔っ払って苛々して喧嘩をふっかけた。ボコボコにされてなけなしの金まで取られた。家に帰ると妻の置き手紙があり、洋服掛けに服がなかったので、出て行ったようだ。いよいよ生きる価値を見いだせなくなって、斧を投げたみずうみに身を投げようと考えた。もしかしたら、金のおれと銀のおれが現われるのかもしれなくて、死にたい心に少しうきうきする気持ちがした。だが、ただ単に泳げないおれは溺れただけだ。救いなのは女神が助けてくれたこと。「バカなことするんじゃないわよ」と女神はおれをバカにするように笑った。
「あなたという人間はあなたしかいないのよ」
商売道具の斧よりも大切なものに気がついたのは、幸運。木こりを続けることにした。
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