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【血の粥】ムラから草原へ出て狩りに(1)

草原が広がる、ずっと果てに岩山。空は灰色で雷雲に覆われている。時刻は夕暮れ前、狩りをするにはラストチャンスだった。コバートとエコーは離れて、お互いに草むらに身を潜めている。大声を出せばようやく確認できるほどの距離感。もちろん狩りだから大きな声は出せない。雨が降りそうな予感をコバートは抱いていた。最近、雨がないから願いに近かった。ひと雨来れば、狩りはしにくくなる。うっすら重なる雲の向こうに沈みかけた太陽が透けていて、発光。風がぬるくて湿気を含んでいる。動物の気配はなし。一方、エコーは今日の狩りを昼過ぎから早々に諦めていた。言葉にできないような倦怠感があった。早く雨でも降って狩りの中止を祈った。ずっとそう思っていた。結局、獲物は見つけられない。痺れを切らしてコバートに「もう帰ろう!」と隠れた草むらから身を出して立ち上がった時、コバートの真上に見たこともないコウモリのような巨大動物を発見して、絶句。

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