見出し画像

マッチアップ【400字小説】

マユミはコンビニだけでは稼ぎが悪いから、夜、ガールズバーで働いている。今夜、新規できたおじさんは一緒のコンビニに勤めているヤマモトさんだった。マユミが退勤の際にすれ違いで勤務に来るおじさん。ヤマモトさんと世間話をしたことはないが、愛妻家だと噂では聞いていたし、仕事を引き継ぐ際も、丁寧な物腰と言葉使いで対応してくれるので、マユミの印象としても誠実な人というイメージ。そんな人がガールズバーに来るなんて意外。ヤマモトさんもマユミを見て驚いたが、どこか嬉しそうに照れ笑いした。マユミは内心「奥さんがいるのにガールズバーに来るなんて最低」と思ってしまった。「今日はね、妻は実家帰ってんの」と伝えられたが、悪いことをしているとは一切考えていない様子。すると「マユミさんがこんなところで働いているなんて、いくらかわいいからって、ちょっと残念だな」と言われてカチンと。でも、言い返せなかったのは、紛れもなく核心を突かれたので。

❏❏❏

いいなと思ったら応援しよう!