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ノールック【400字小説】

人の目を見て話せない。マナブは自分に自信がないのか?コート上では大胆なプレーをするのに。予測不能なノールック・パスを出したり、トリッキーなドリブルをしたり。特筆すべきはジェイソン・ウィリアムスに憧れて、彼の伝説となっている《エルボー・パス》を繰り出したり。でも、まわりの選手のレベルがマナブについていけない。思わぬ所からパスが来るから、ボールが手につかない有り様。だから、ここぞという時は、マナブが個人技で得点する。県大会ベスト8まで勝ち上がれたのは、マナブの実力。でも監督はチームのためにならないとマナブを責めた。それでも強気に派手なプレーをやめない。なのにコートを離れたら、小心者。マナブに恋する女子は多い。たくさんの子がそれぞれに声を掛けてくるほど。でも恥ずかしそうに目を背けるから、女子たちにはそれがたまらない。いつまで経ってもマナブからパスは供給されないのに、「かわいい」って萌えてる。

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