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【400字小説】嘘つきな自画像

「清潔感ありますね」って井の頭公園で似顔絵屋さんがわたしに言った。美人な似顔絵屋さんだったからお金を払って描いてもらうことを決断。でも「自画像にしたらどうですか?」だなんて似顔絵屋さんは言うんだ。少しムカムカした。

20分・3000円で仕上がったそれ、わたしではなかった。ブサメンなわたしはそこにいなくて、夏の日の朝みたいな青年がいた。そもそも現実世界のわたしは坊主頭で白髪交じり。それがどうだ、長髪のイケメンがいるじゃないか。「理想の人です」だなんて似顔絵屋さんが言って、「おじさんの若い頃はきっとこうだったんですよ」って何も知らないくせに言い放った。

だけど、満足している自分もいて、noteのプロフィール画像に、早速、設定。自画像と偽ることも気にならなかった。自分がよくわからない。若かったパラレルワールドで似顔絵屋さんと出会っていた?

見事にフラれたのを思い出した。似顔絵のような爽やかイケメンだったのにね。

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