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inagakijunya
【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「透明少女」ナンバーガール
首夏の或る日に少女は少年とまぐわったあと、その帰り道で死んだ。そんな自分を悲しくは思わなかった。少女には親がいなかったから。むしろ、幸せだったのかも知れない。
少年は突然の少女の死に動揺して夏の間、部屋に閉じ籠もる。青春を無駄にしてはいけないと誰も言わなかった、ただ存分に泣いた。ゲームでマシンガンを手に入れて繁華街に出てぶっ放した。でも、誰にも当たらずに弾は事切れた。神に祝福されている気持ちになり、少年は神父になると心に誓う。
20年後、少年は青年に。少女のことを反芻することが多かった。少女は少年の中で、永遠に少女のままのはずだった。駅前のスクランブル交差点で、少女の生まれ変わりと偶然すれ違っても当然気づかない。それは少女も同じ。交差点の大型スクリーンに神父が少女を強姦して逮捕される報道が流れても、自分たちのことではないと、無視。少女は赤ん坊の世話をするので精一杯。夏にはまだ少し早い首夏だった。
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