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コースト・トゥー・コースト【400字小説】

「オカヤマがまた暴れ出した」とLINEが来た。ヤマダは部室に走っていったが、到着した頃には下級生3人が被害に遭っていた。「もうしないって約束したじゃん!」とオカヤマに殺されるのではないかという恐怖に打ち震えながら訴えた。キャプテンの意地がある。「ごめんよ、ヤマダくん……」事件を起こした後の彼はいつだってしおらしい。そもそも彼とバスケがしたくて、ヤマダは越境してまで同じ高校に入ったのだ。それだけオカヤマのプレーに魅了されていた。パワフルなだけのプレイスタイルだったが、2m100kgの巨体から繰り出されるダンクは日本人離れしていた。ところが入学から2年もオカヤマはバスケット人生を棒にふっている。暴力行為が止まらない。プレッシャーとストレスからのバイオレンスだということはヤマダさえも知らない。道を正してくれる人物の登場に憧れているオカヤマもヤマダも間違っている。人間はそんな簡単に変われるはずがない。

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