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エルボー【400字小説】

トミオカはそこからのシュートを決めてくる。LINEやメールのように確実に、堅実に届ける。試合を決めるダメ押しのシュートもエルボーの位置からだった。わかっているけれど止められない必殺技。でも試合以外ではてんでだめな男のトミオカ。女にだらしがないなら逆にスポーツマンらしかったのかもしれない(偏見)。消極的で手も握れないし、「疲れたからどこかで休まない?」だなんて言える男でもなかった。デートで3回連続で手出ししなかった今夜のお相手には文字通りエルボーを食らって、鼻血。「なんで?」って顔をしてさらにムカつかれた。彼女は冬だっていうのに、胸の谷間を強調した服を着てきていた。でも、指1本触れずにトミオカは「電車なくなるよ」って言った。マジメなことは良いことで、恋愛もマジメであるべき。でも、それは退屈な恋愛。エルボー女は刺激的だったはず。ゲーム中に接触して鼻血を出しながらプレーするのもまたそうだろ? トミオカ。

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