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【400字小説】旅路ノ季節

夏も終わろうとしているのか。まだ暑いのに。地球温暖化、危機感を覚えないのか!

わたしは車を手放した。少しでも地球のためにと思って、エセ人間。ドコソコに寄付をしたとか、子どものために働いているとか、わざわざ口にすることじゃないのでは? 本当の気持ちなら、誰かに言う必要もない。ましてやSNSで報告するみっともなさも晒すなんてことはするべきじゃない。ひっそりと、ひっそりと暮らしたい。

だから秋が来る前に旅立たなきゃならない。方向音痴はお手の物。どんなに詳細な地図を以てしてもわたしを迷わず目的地に連れて行く能力はないんだ。

涼しいサブウェイの店内から道行く人を眺めている。わたしの書く小説は感情が多い。もっと淡々と風景描写だけで、優れた文章に仕立て上げたい。だなんて言うかよ。いつまでたっても優れたいとは思わない。この旅路を迷ったままで、力強く進んでみたい。夏がなかなか終わらないように、わたしもしぶとく夏でいたい。

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