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【血の粥】卜骨(30)

炎が焚かれた大きな空間で呪術式は始まった。初体験だというのに、待ったなしの儀式だった。天井からいくつもの動物の骨がぶら下げられ、読経の厳かな振動でくるくる揺れた。ムラ民は何度も地面におでこをつけて祈った。コバートはこれまでの儀式を参考に祈りを捧げた。それは卜骨ほっこつという占術だった。動物の骨を焼き、ひび割れの状態を見て、神の意思を読み取る。コバートは心の底からは神の存在を信じていなかった。祈りや占いには信じる気持ちが大切だから、見る人間が見れば、コバートのそれは自信がなく見えた。当然ムラ長にはお見通し。でも、ムラ民には地面に顔を埋めているので気づかれなかった。イノシシの骨を使って、ムラとしてどうするべきかを占った。本物の呪術師が祈りを捧げれば、神からの正しいお導きを得られるが、コバートのはただの真似だったし、霊感を信じ切れていなかったから、何も起きなかった。骨のヒビを恨めしく凝視するほかなく、無力。

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