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【血の粥】ムラ民はパニックになって逃げ惑う(54)

炎狼はコバートが意識を失った後も噛みつくのをやめなかった。しばらくして、事切れたことを認める。だが、興奮が沈静化されることなく、むしろ興奮してムラ民を襲った。怒りで大暴走した。エコーをコバートが見殺しにしたという思い込みの怒りが鎮まらなかった。罪のないムラ民はパニックになり、逃げ惑う。悲鳴が響き渡り、厳かな儀式は修羅場へと化している。何人かのムラ民が噛み殺され、炎となり焼けた。ほかのムラ民がそれを目の当たりにしてさらに混乱。冷静な者はいなかった、ムラ長を除いては。胡座を組んで泰然自若に構えていた。そんな落ち着きに本能でムカついた炎狼は、ムラ長に狙いを定めて噛みつく、やはり血飛沫が飛ぶ、火がムラ長の白ひげや衣服に火が点く。だが、牙が致命傷まで深くムラ長を傷つける寸前で、覚醒したコバートが炎狼を突き飛ばした。炎狼であるジャはコバートの復活に疑問を持たない。むしろ、至福の喜びと言って良かった。

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