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【400字小説】彼女は求めない

ミツリちゃんの性的防御はウェンビーのディフェンスのように堅かった。だから、夕飯を彼女の部屋で食べたにも関わらず、朝まで何もできず。

チャンスは『カリオストロの城』を観ながら彼女が眠った時だったけれど、あまりにも無防備だったし、気を遣ってしまった。それで、結局、ボクも寝落ちしちゃって、気がついたら早朝。ミツリちゃんはキッチンに立って、おいしい香りの味噌汁を作っていた。「ごめん」とボクは反射的に言っていた。

「え、何が」
「寝ちゃって」
「気持ちよさそうだったからいいよ」

失礼なことをしてしまったと考えた。だから思い切って言う。

「これからでいいから、しない?」
「もう遅いよ」

それでもボクはらしくなく、強引にハグしようとする。次の瞬間待っていたのは、ウェンビーのブロックのような強烈なビンタ。「もうオセーって言ってんだろ!」と言われたので、ミツリちゃんはきっと元ヤン。早めに押し倒しておかなくて良かった。

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