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【血の粥】無慈悲な仕打ち(7)

エコーは命を引き換えにしても構わない心持ちだった。なんて友だち思いなんだろう。なんて美談なんだろう。しかし、神様はいて、無慈悲。稲妻が瞬きにも満たない高速度でエコーを爆撃した。エコー自身に死ぬ覚悟をする隙はなかった。苦しむことなく死ねるなんて羨ましいと、多くの人々は思うだろうか。家族のことを思う暇もなく、命を落とすなんて、清々しすぎるかもしれない。でも本人にとってはまったくその逆かもしれなくて、「会いたい人に会っておけば良かった」とか「やりたいことをやり貫いておけば良かった」と悔やみ切れない気持ちであるかもしれないという想像はできる。少なくともエコーには痛みを感じる時間も、考えている暇も皆無。それを無慈悲と言うのは生き残った者の勝手な思考。せめてもう二度と悲劇にならないように、自身の人生を覚悟して生きるべきだ。死ぬのだと思考する前にエコーはすべてを受け入れていたら、それより幸運なことはない。

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