見出し画像

【血の粥】救助を待つ(10)

一刻も早く助けに来てほしかったが、逆の気持ちもあった。エコーに無惨な死を遂げさせてしまったことを申し訳なく思った。コバートのせいではないのに。ムラ民からそれを責められる被害妄想に苦しめられた。草原に埋もれたコバートは草の匂いと何かの動物の死骸が腐ったような臭いに包まれていた。エコーは無惨に死んだ。コバートはなんとか生き残った、息絶える前に誰かが助けに来てくれれば。コバートにできることは、ただただ待つこと。これほどゆっくり時間が流れるのを体感したことはなかった。時間は伸び縮みすることをコバートは肌で感じていた。絶対、時間は歪まずに公平に平等に生きる者たちに猶予を与えてくれると信じていたから、ショッキングだった。それを受け入れつつ、自分の秘めた能力について感じ始めていた。草の味を噛みしめるウマのように、認めざるを得ない。自分らしさを見つけた気がした。死ななければ、その宿命に生きようと心を決めた。

❏❏❏

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?