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ブザービーター【400字小説】

小説書きは試合経過が目に見えない。プロだったら、出版数で戦況を知ることができるが、ウブネのような素人には、せいぜい新人文学賞に応募してみることくらいしか方法がない。二次予選通過したくらいで浮かれているようじゃ、本物じゃない。目に見えることで一喜一憂するから素人なんだ、ウブネは。実は自分がそう思えば誰だって小説家のはず。毎日パソコンに三十分向かうだけで資格はある。たったそれだけの時間でも1年、5年、10年と積み重ねれば高みへ近づける。そのことを知らない素人が多すぎる。あと負けることを恐れすぎ。「今回もダメだったか!」と思うのは悔しくて怒りすら覚えることだってあるだろう。でも、じっと涙を堪えるんだ。試合終了のブザーが鳴るまで諦めるな。なんとか接戦で試合運びを。それは書き続けることでしか達成できない。死ぬ直前にシュートを決めきる度胸と覚悟を持て。死んだって、結果がひっくり返ることがあるんだしな。

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