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【血の粥】血の粥は聖食だから粗末にできない(36)

想像の通り、血の粥は決して口に合うものではない。最早、まずいという次元にない。食事や味覚という概念を覆す。生きるためではなく、死ぬために食べるもの。思考よりも先に身体が拒否反応を示すほど。無知に毒キノコを食べるような自殺行為よりも愚かで、逆に厳かだ。とはいえ、誰が好んで何の動物かわからない血で煮込んだ粥を食するというのだろうか。匂いがきつい。鼻がめくり上がるほど生臭い、とても生臭い。見た目がいかにもまずい。神聖なものと知りつつも罵りたくなるほどだ。しかし、聖食だから決して粗末にはできない。間違ってでも、器ごと落として粥で地面を汚そうものなら、想像を絶する災いが、コバートの身に降りかかるのは目に見えている。《ことほぎの儀》とは言葉で生命たちを祝福する純粋で清らかな式。その形容しがたい粥を食べきって「おお、うまいぞぉぉぉぉ」と称賛することで、呪術師としての人生がはじまる。それはきっと脳が痺れる。

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