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【血の粥】塩っけ混じりの雨が(13)

間もなくして、いよいよ雨がぽつぽつと降って来る。意識を取り戻すコバート。雨は冷たくも熱されてもいなかった。雨というには雨らしい降り方の雨。しかし、コバートは少しして気がつく。雨はしょっぱかった。海水よりずっと薄くて喉にはありがたかった。金魚のようにパクパクと口を開けたり閉めたり。でも、降り方が次第に激しく変わると、塩分濃度も増して、胸の傷口には痛むばかり。まるで拷問気分だった。それでも発想の転換をして、「これは呪術師になるための修練」とコバートは捉えた。そんな遊び心に頼る自分を「こんな場面で」と呆れたが、同時に逆に「たくましい」と考える余裕も生まれた。「きっと助けがすぐやって来る」と希望を持つほかなかった。それを信じるしかなく、そうでなくても、選択肢は《死す》だけだと理解していた。だったら信じても損はない。大地が塩の水分を吸い込む。空が落ちてきそう。太陽はいない。草原はびしょ濡れ。

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