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【400字小説】白昼夢、もうたくさん

今朝、知らない男の人が夢に出てきた。その人が電車の向かいの席に座っていた。デジャヴュかと思う間もなく、おもむろに男は立ち上がって何かを赤いシャツのポケットから取り出した。すぐにピストルだとわかったけど、次の瞬間になる前に、激痛が腹部を襲った。痛い、痛い、とても痛い。遠くで悲鳴が聞こえる。腹を押さえた手のひらを見たら血だらけで意識が遠のいた。

気がついたら知らない天井。瞬間的に撃たれたことを思い出す。すると「目が覚めましたか?」と女性看護師が。「病院か」と思ったのと同時に叫びたくなるが、おなかが痛いので無理だった。女性看護師の顔だけがわたしを撃った男の顔。胸には膨らみがあるので女性に間違いない。「先生呼んできますね」と彼女は立ち去り、安心したが今度は先生が赤いシャツの男という悪夢。「安心しなさい」と言って、胸から取り出したのはピストル。また撃たれて、でも心臓だったから、もうおしまいだと安堵した。

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