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【血の粥】呼吸ができなくなり意識が遠のく(22)

激しく咳が続くので、呼吸ができなくなり意識が遠のく。酸素不足になり、脳が痺れ、貧血のようなやさしいめまいを感じた。その先に意識が行方不明に。ジャは思考を失う。それは死ぬと同じことだった。その証拠に夢も幻も見なかった。時間が寸断される。記憶が遮断される。血流に青い実の震える苦みが駆け巡る。痙攣するジャだった肉体。岸に釣り上げられた大魚のようなピチピチした派手さはないが、どこまでも不吉で嫌な予感のする痙攣。眼孔は白目を剥き、口元には白い泡がぶくぶくと発生していた。まわりには誰もいない。「死ぬのかも知れない」と思う余裕さえなかった。生き物の気配はない。呪いの樹の枝が強い風に煽られる。どこから吹いてきたのかわからない風。どこへ立ち去るのかわからない風。ジャの汚れてしまった生き様に、誰かがせせら笑う声も聞こえない。荒野にはただ荒野であることだけが求められた。それはジャの遺体を干からびさせる理不尽さ。

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