【書評】Outlookビジネスメール効率化&自動化の教科書

伊賀上 真左彦
技術評論社
2022/09/12

 このところネットワーク絡みで辛い読書が続いていたため、息抜き的に優しそうで実務に近いやつをば。著者は、えーっと、まず名前がすげーな。忍者みたいです。伊賀の里出身でしょうか。お仕事はコンサルタントのようですが、「ライトなITエンジニア育成コンサルタント」を標榜しており、ちょっと高度なOfficeのハンドリングとか、コテコテ過ぎないBPRなんかをやっている様子。中小企業にはこのくらいがちょうどよかったりしそうですね。

 実際私自身、就業中かなりの時間をメール処理に割いているため、TIPSが時短につながればうれしいという狙いがあり手に取りました。基本的なショートカットキー、クイック操作、署名の活用なんかはもちろんですが、クイックパーツの存在は知りませんでした。前々からIMEで改行を含めた長文を登録できないかと不満に思っていましたが、Outlook側にその機能が備わっていたようです。喜び勇んで登録しようとしたものの、いざPCの前に向かうとなんか出てこないですね。まぁ思いつき次第登録していくことにします。

 あと序盤で著者お勧めのメール管理手法として出てくるのが、インボックス・ゼロという手法です。これは良い。ディ・モールト・ベネ。アーカイブフォルダはいったい何の意味があるのだろうと思っていたのですが、こういうことですね。元々フォルダ分類は極力せずに階層を作らない主義でしたが、これで仕掛と完了の仕分けがとても分かりやすくなりました。従来未着手は未読・既読で管理していましたが、アーカイブフォルダへの移動は標準でBackSpaceが、削除は標準でDeleteが割り当てられています。いらないものは削除、完了はアーカイブで右手のみ2ボタンで分類が進みます。iPhoneのメールアプリでもアーカイブフォルダへの移動は楽ですし、未読に戻すためのひと手間もいらなくなります。受信フォルダは仕事が終わればまっさらでいつもきれい。これは精神衛生上とても良好です。机の乱れは心の乱れ。受信ボックスの乱れは仕事の乱れです。

 フォルダ分類が好きな方も、分類機能と検索フォルダー機能の組み合わせでかなり使いやすくなるはず。タグの付与とDBのビューを切るような考え方で、こっちのほうが断然スマートで構造化されています。私はあまり使おうとは思いませんが、気に入る人もきっと多いはず。

 後半はマクロ・VBAに関する記載。正直私は営業職なので、お客様とのコミュニケーションツールとしてメールを使っているため、あまり同一の大量処理はありません。テンプレートは役に立っても、一斉送信は無いですね。マーケや請求書絡みの業務では利活用が進むのではないでしょうか。

 後半かなり端折ってしまいましたが、私の業務に役立てるという観点であまり有意で無かったというだけです。前半だけ、というかクイックパーツとインボックス・ゼロを知っただけでもこの本は価値がありました。毎日数時間触るPCとアプリのより良い使い方というのは、効率と手戻り防止に直結することを実感。Outlookを吊るしで使っている人は間違いなく残業時間が減ります。読むべし。

いいなと思ったら応援しよう!