実用新案法7条 先願
実用新案法は無審査登録主義を採用しています。このため、本条が威力を発揮するのは、(i)特許出願と競合した場合、(ii)実用新案技術評価書が請求された場合、(iii)無効審判の場合です。
実用新案法7条3項には、実用新案登録出願が、特許出願と競合した場合の規定が設けられています。この場合、特許庁長官から協議命令がなされます。協議不成立の場合は特許出願には拒絶理由が生じ、実用新案登録出願には無効理由が生じることになります。
協議不成立の場合であっても、競合している部分を補正で削除するか、訂正によって削除すれば、拒絶理由、無効理由は解消します。
なお、無審査登録主義を採用している関係で、実用新案法には、特許法のような拒絶理由通知に関する規定はありません。
・実用新案法7条
(先願)
第七条 同一の考案について異なつた日に二以上の実用新案登録出願があつたときは、最先の実用新案登録出願人のみがその考案について実用新案登録を受けることができる。
2 同一の考案について同日に二以上の実用新案登録出願があつたときは、いずれも、その考案について実用新案登録を受けることができない。
3 実用新案登録出願に係る考案と特許出願に係る発明とが同一である場合において、その実用新案登録出願及び特許出願が異なつた日にされたものであるときは、実用新案登録出願人は、特許出願人より先に出願をした場合にのみその考案について実用新案登録を受けることができる。
4 実用新案登録出願又は特許出願が放棄され、取り下げられ、又は却下されたときは、その実用新案登録出願又は特許出願は、前三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
5 特許出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その特許出願は、第三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について特許法第三十九条第二項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
6 特許法第三十九条第四項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、実用新案登録出願人は、その考案について実用新案登録を受けることができない。